焙煎プロファイルデザイン

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私のPCには、「焙煎プロファイルデザイン」という名前のフォルダ―が存在している。

これは、焙煎ごとに記録を取る「焙煎プロファイル」とは別モノだ。

さらに下層フォルダーとして、

「浅煎」

「中煎」

「深煎」

の3つのフォルダーを設けている。

試しに浅煎フォルダーの中を覗いてみると、現在38個のファイルがある。

これはつまり、お気に入りのプロファイルデザインの数が38個あることを意味している。


そしてファイル名には、

①豆の銘柄名と具体的な焙煎レベルが記されたもの

②単にデザイン名が付されたもの

の2種類がある。

その違いは?

銘柄名のプロファイルデザイン

銘柄名の入った焙煎プロファイルデザインは、

現時点において、その銘柄に施すベストなプロファイルデザインであることを意味している。

もちろん、「私にとっての」

である。

【ファイル名の例示】

➡ コスタリカ/カスキージョ農園/イエローカツアイ/ウォッシュド/ミディアムハイ

(ファイル名の意味)

①中米コスタリカのカスキージョ農園産シングルオリジンのクロップ

②品種はイエローカツアイ

③精製法はウォッシュド

④この豆のベストな浅煎の焙煎度はミディアムハイ

という意味を表している。

そして、このファイルのプロファイルデザインの中身は次の通りである。

いわゆる、焙煎のための設計図のようなものだ。

設計図が言い過ぎであれば、型紙でもよい。

焙煎プロファイルデザインの画像

もちろん、使用する焙煎機によってもデザインは異なるが、

上記の例は、

私が自宅で愛用しているHIVE ROASTER のCASCABEL による焙煎プロファイルデザインである。

コーヒーショップで用いられている商業用小型焙煎機のデザインも、

また別の機会に詳しく紹介したいと思う。

プロファイルデザインのソフトウェア

上記の型紙は、これまた普段から愛用しているartisan-scopeのデザイナー機能を用いたプロファイルデザインである。

artisan-scopeは、オープンソースの非常に優れたプラットフォームであり、世界中のロースター(=焙煎士)に用いられている焙煎ロギングのためのソフトウェアだ。

コーヒー豆の焙煎は、化学反応の現象推移であることから、

「量れるものは量り、記録すべきものは記録する」

ことが重要となる。


その点、artisan-scopeは期待を裏切らない便利なソフトウェアなのだ。


本来の機能は、焙煎記録(=データロギング)であるが、

「デザイナー機能」を用いれば、

事前に焙煎プロファイルをデザインすることができる。


そして実際の焙煎では、そのデザイン(=型紙)をトレースしながら焙煎を行う。

ゆえに、手動の焙煎であったとしても、

基本的には、プロファイルデザイン通りの焙煎が可能になるわけだ。

下記は、先のプロファイルデザインに基づいた実際の焙煎プロファイルの例である。

HIVE ROASTERのCASCABELは手動式のため、多少ブレが生じているがご愛嬌である。

焙煎プロファイルデザインに基づいた実際の焙煎データ
コスタリカ/カスキージョ農園/イエローカツアイ/ミディアムハイの焙煎ログ/焙煎機HIVE ROASTER

デザイン名のプロファイルデザイン

次に、デザイン名の入ったファイルは、標準のプロファイルデザインを意味している。

私の「浅煎フォルダー」内には、

・シナモン

・ミディアム

・ミディアムハイ

という3種類の焙煎プロファイルデザインが格納されている。


この標準デザイン(=型紙)を基に、銘柄ごとのデザインを行うわけだ。

そしてデザインする際は、コーヒー豆の特性を想定しながら、

「どのようなフレーバーに仕上げようか」

などとワクワクしながらPCに向き合っている。

このイマジネーションを掻き立ててくれる時間は、

私にとって、本当に価値のあるひと時になっているのだ。

プロファイルデザインの裏付けはカッピングにあり

その銘柄のプロファイルデザインが固まるまでには、トライ&エラーを繰り返すことになる。

take10なんてこともザラに起こり得る。

では、何を基準にエラーを判定するのか?

そこで登場するのが「カッピング」である。

プロファイルデザインに沿って焙煎した豆は、3日後にカッピングを行う。

この3日後というのは、あくまでも私の場合の話である。

カップの結果から、満足のいかなかった要素を検討し直し、それをデザインの更新に反映させる。

これを十分に納得できるまで繰り返すことにより、

そのデザインにおけるフレーバー(=香味)を担保しているわけだ。

さて、カッピングを厳しく行えば行うほど、デザインの精度は向上する。

デザインの精度が向上すれば、当然、味わいも向上することになる。

そして、精度の高い美味しいプロファイルデザインさえあれば、

同じ味わいの美味しいコーヒー豆を何度でも繰返し焙煎することが可能になるのだ。



すなわち、

焙煎の再現性は、

カッピングに裏付けされたデータ(=プロファイルデザイン)

によるところが大きいのである。

なぜカッピングなのか?

ところで、フレーバーの確認をどうしてカッピングで行うのか?

普通にぺーバードリップで確認しても良さそうなものである。

それにはちゃんとした理由がある。



コーヒーの抽出方法には、

浸透式(しんとうしき)と浸漬式(しんししき)という

2つの方式がある。


 ・浸透式 = ぺーバードリップ・ネルドリップなど

 ・浸漬式 = サイフォン・フレンチプレスなど

この2つの方式の内、カッピングは浸漬式(しんしき)の抽出方法に該当する。

ちなみに、浸漬式は浸透式と比較して、コーヒー抽出の巧拙の差が出ない方式である。


  ☞ 「ハンドドリップへのこだわり」 を参照



さらに、同じ浸漬式のサイフォンやフレンチプレスに比べ、

カッピングは単純にカップに湯を注ぐだけであることから、

①簡潔で手間がかからない

②各回ごとの抽出差がより一層出にくい

方式になる。


これがカッピングを行う理由である。

すなわち、抽出液の抽出条件を

常に一定に保てる方法がカッピングなのである。

焙煎プロファイルデザインとカッピング

各回ごとの抽出液に差が出ないからこそ、

プロファイルデザインの見直し基準として利用できるのだ。

したがって、

突き詰めれば

「コーヒー豆の焙煎はカッピングで決まる」

とも言えるのだ。