サンプルローストは、
コーヒー焙煎を生業とするモノにとっては欠くことのできない大切なステップです。
なぜでしょう?
それはね、
販売用の生豆の仕入は、このサンプルローストによって意思決定を行うからなのです。
ということで、
今回は、このサンプルローストについて語ってみたいと思います。
焙煎に関する一連の流れ
ここに紹介する焙煎の流れは、
あくまでもスウィングコーヒーの話となりますので悪しからず。
ちなみに、当店の焙煎に関するタスクは、次の3つに区分することができます。
1.生豆選び
豆選びは、店の個性が顕著に表れる大切なステップです。
2.テスト焙煎
生豆を仕入れた後、その豆の特長を最大限に引き出す焙煎レベルとプロファイル作りの段階です。
3.商用焙煎
実際に注文を受け、商品として販売を行うための焙煎のことです。
今回のサンプルローストは、上記の
1.生豆選び
のステップで行う焙煎のことを指します。
具体的には、仕入先より生豆のサンプルを取り寄せ、
仕入れるか否かの判断のための
カッピング(=コーヒー豆の特徴や品質の評価)
を行うための焙煎のことですね。
このサンプルローストは、
それぞれ店ごとに独自の基準がある(?あると思う)のですが、
スウィングコーヒーの場合は、
毎回均一の「浅煎り」に焼くこととしています。
ところで、話はズレますが一般に珈琲屋さんの焙煎と言えば、
3.商用焙煎
が主と考えられがちなのですが、スウィングコーヒーに関する限り、
1.生豆選び
2.テスト焙煎
が最も重要な焙煎となります。
その理由は、
サンプルローストを通じて厳選した生豆を選び、
妥協しないテスト焙煎に基づく焙煎プロファイル(=焙煎仕様書)を緻密にデザイン
しさえすれば、
商用焙煎の段階において、失敗も、苦労も、悩むことも無いからなのです。
店の個性と商用焙煎における焼き加減の再現性は、このようにして初めて担保できるわけですね。
サンプルロースト
生豆の仕入は、店で取扱うコーヒー豆のラインナップを考慮に入れながら検討します。
最初に、仕入先から送られてくる豆情報で気になったクロップがあれば、
そのサンプルを取り寄せます。
サンプルは、100g~200gの量で、ほとんどの場合無料なのですが、
希少クロップやスポットで輸入されている豆の場合は有償で取り寄せます。
現在、スウィングコーヒーの仕入先は3社あり、
いずれもシングルオリジンのスペシャルティコーヒーを主に商っている専門商社です。
仕入先選びは、実際に取引してみないと良し悪しの判断はできません。
当然、仕入値も重要な要素なのですが、
値段よりも品質の方が大切であることは言うまでもありません。
その点、実際に取引を行ってみると、
価格に見合った品質が確保されているかどうかは直ぐに分かります。
いずれにしても、焙煎事業者にとり、
信頼できる仕入先を持っていることは、事業を行う上での一丁目一番地と言えるでしょう。
そして、サンプルの生豆が届けば、ローストを行います。
これが「サンプルロースト」です。
このローストは、カッピングを行うための焙煎ですが、カッピングについては
別の機会に語る予定なので、今回は簡潔に、
「コーヒー豆の特徴や品質の評価を行うためのテイスティング」
とします。
サンプルロースター
さて、生豆選びを目的としたカッピングのための焙煎は、常に均一の焼き加減が求められます。
スウィングコーヒーの場合は「浅煎り」ですね。
実は、そこで問題になるのが焙煎量なのです。
先にも紹介したように、カッピングに必要な量は100gもあれば十分です。
ところが、商用焙煎機は、小型タイプでも1キロ窯以上のため、
毎回100gの豆を均一に焼き上げることは非常に困難(投入量に対して窯が大き過ぎる)を伴います。
そこで、一般に焙煎所は、商用の焙煎機以外にもサンプルロースター(=サンプル用の焙煎機)を
保有していることが殆どです。
もちろん、スウィングコーヒーもサンプルロースターを使用して焙煎しています。
なお、サンプルロースターにも色んな機種やタイプがあるのですが、
スウィングコーヒーでは、毎回均一の浅煎りを実現してくれ、お財布にも優しい
ダイニチ工業のカフェプロMR-101を用いています。
また、焙煎具合や経済性以外にも、
カフェプロは、取り回しの良さがサンプルロースターにピッタリなのです。
いかがでしたか?
適当に豆を買っているわけではないということを語りたかったのですが……。
ちなみに、サンプルローストの結果、
商品としては仕入れずとも、自家消費用に1キロ単位で好みの豆を買ったりもしています。
今回は、サンプルローストについて語ってみました。
次回の「珈琲焙煎物語」をお楽しみに!