母親の遺品を整理していると、懐かしい写真が出てきた。
写真というか、地元新聞社の古い記事の切り抜きである。
かれこれ40数年も前のものだ。
筆者は、高校生の頃ロックバンドを結成していた。
「印象派」というバンド名で、
全曲オリジナル曲を演奏するそこそこ人気のあるバンドであった。
記事は、その「印象派」が地元音楽祭で優勝したことを伝えている。
トーキングヘッズ
当時、影響を受けた海外アーティストは様々あるのだが、
強く印象に残っているのは、米国のロックバンド「トーキングヘッズ」である。
ニューヨークで活動する知的なロックバンドであった。
メンバー全員が名門美術大学を出ていたため、インテリバンドと呼ばれていた記憶がある。
中でも彼らが1980年にリリースしたアルバム「リメイン・イン・ライト」は、
まるで稲妻に打たれたかのような衝撃と興奮で、毎日浴びるように聴いていたことを思い出す。
アフリカン・ファンクとも云うべき、
アフロビートとポリリズムの実験音楽で構成されたアルバムだ。
その「リメイン・イン・ライト」のレコード盤が、
当時のまま実家に残っていた。
思わず懐かしくなり、
古いレコード盤をプレイヤーに乗せ、
針を落としてみた。
選択した豆はマサイAA
前衛的なトーキングヘッズのアフロビートには、
やはり「ケニア・マサイAA」がよく似合う。
深煎りにローストした「マサイAA」を
大きめのマグカップにたっぷりと注ぐ。
カシスの香りと甘みを伴う酸味。
加え、エッジの効いた苦味にしっかりとしたボディ感。
「大地の生命力」を感じさせてくれる、素晴らしいクロップである。
マサイ族
クロップの銘柄名にもなっている「マサイ」は、
もちろん「マサイ族」から名付けられたものだ。
恐らく、アフリカの中で最も有名な民族であろう。
屈強な男たちは皆高身長であり、視力はなんと3.0~8.0の高さを持つと言われている。
垂直にジャンプする独特のダンスとライオン狩りで有名な民族だ。
もともとは遊牧民だったそうだが、
現在の彼らは、タンザニア北部からケニア南部に定住している。
民族名の「マサイ」とは、「マー語を話す人々」という意味らしい。
今も民族の伝統や知識をマー語によって口伝している誇り高き民族である。
懐かしいトーキングヘッズのアフロビートには、
マサイの名を冠した豆で淹れたコーヒーが、実に良くマッチする。