エルサルバドル/ラス・ヌベス農園

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今回のクロップは、エルサルバドル/ラス・ヌベス農園のマイクロロットです。

スペイン語の Las Nubes を英語表記するとThe Cloud になります。

すなわち「雲」ってことですね。

文字通り、ラス・ヌベスは1,150~1,800mの高地の雲間に点在する農園です。

エルサルバドル

エルサルバドルの首都サンサルバドルの眺望
首都サンサルバドルの眺望

エルサルバドルは、グアテマラとホンジュラスに挟まれた中央アメリカ(=中米)の国です。

その国土面積は、中米7カ国中最小です。

エルサルバドルほか中米7カ国

中米には火山が密集していますが、特にエルサルバドルは、狭い国土の中に20以上も火山が点在する火山国です。

肥沃な火山灰土壌に恵まれているため、古くからコーヒー栽培が盛んに行われています。

エルサルバドルのセント・アナ火山
セント・アナ火山

西部のサンタアナには、避暑地として有名なカルデラ湖の「コアテペケ湖」があります。

この湖は、標高750m地点に位置する高山湖です。

規模は違いますが、見た目は日光の中禅寺湖に似ています。

エルサルバドルのコアテペケ湖
コアテペケ湖

その他にも美しい自然景観のスポットが多数点在しています。

エルサルバドルのカレラの滝
カレラの滝

また、他の中米諸国と同じように、有名な大聖堂もあります。

セントアナ大聖堂
セントアナ大聖堂

クロップ紹介

さて、今回紹介するクロップは、


エルサルバドル/ラス・ヌベス農園のマイクロロット

ブルボンウォッシュです。

ラス・ヌベス農園のブルボンウォッシュ

豆の仕入先は、海の向こうコーヒーです。

ニカラグアやパナマのクロップと一緒に、’21年晩秋に仕入れたものです。

クロップデータ
 生産地 エルパルサモ、サンサルバドル火山周辺
 精製法 ウォッシュド
 標高 1,400~1,500m
 品種 ブルボン種
 クロップ年 2021年7月入港
 乾燥法 天日乾燥・日陰乾燥+アフリカンベッド
 規格 SHG
 サイズ 16UP

フレーバー

<焙煎度/浅煎>

・酸味 ☆☆☆☆

・甘味 ☆☆☆

・苦味 ☆

・コク ☆☆

・香り ☆☆☆


精製法


ウォッシュド(水洗式)です。

ウォッシュドは、収穫後のコーヒーチェリーから果肉とミューシレージ(粘液質)を取除き、その後水洗いし乾燥させる精製法です。

品種


ブルボンです。

ブルボン種は、レギュラーコーヒーとして飲まれるコーヒーの元祖とも言える品種です。

そもそも、レギュラーコーヒー用に栽培されている数多の品種は、アラビカ種の亜種であるブルボン種とティピカ種から派生しているのです。

中でもブルボン種由来の栽培変種は7割強とされていることから、ブルボンはまさにレギュラーコーヒーの元祖と呼ぶに相応しい品種と言えるでしょう。




ブルボンの外形的特徴は、丸くて小粒な点にあります。

味わいの特長は、豊かなフレーバーと柔らかな甘味、それに加え、濃厚なコクを併せ持つ点です。

味わい的には素晴らしい品種なのですが、病虫害に弱いため、ブルボン種を基にした品種改良が盛んに行われることになり、現在に至る多くの品種が誕生しました。

名前の由来は、18世紀初頭、インド洋に浮かぶユニオン島(別名ブルボン島)に初めて移植されたことにあるとされていますがその他の異説もあります。

乾燥法

天日乾燥です。

この乾燥法は、説明するまでもなく、天日による自然乾燥を意味します。日陰乾燥もまた然り。

パティオのコンクリート床にそのまま水洗後の豆を広げ乾燥させる方法です。

一方のアフリカンベッドとは、主に東アフリカで採用されている乾燥法のことを言います。

豆を天日乾燥させる専用棚の名称のことです。

アフリカンベッドでは、網目のネットの上に豆を広げて乾燥させます。

風通しがよくなり、効率よく豆を乾燥することができます。

最近では、中米において盛んに取り入れられている乾燥法です。

アフリカンベッドの柵
アフリカンベッドでの乾燥過程

規格

エルサルバドルの規格は、生産地の標高により3段階で格付けするのですが、今回のクロップは最高格付けのSHG(Strictly High Grownの略) です。

標高1,200m以上の高地で生産された豆であることを表しています。

サイズ


スクリーンサイズと言います。

これは、豆を選別するための「ふるい」の目のサイズのことです。

数字が大きくなるにつれ豆の大きさも大きくなります。

このスクリーンサイズは、12~20に分かれていますが、16~18が一般的なサイズです。


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ブルボン種は、甘味とコクに特長のある品種なのですが、今回のクロップをカッピングしてみると、爽やかな酸味特性を持っていることが分かりました。



焙煎は、

・浅煎(ミディアムロースト)

・中煎(ハイロースト)

・中深煎(シティロースト)

を試したのですが、いずれにおいても、フルーティな酸味が感じられたのは正直なところ意外でした。



ブルボン特有のボディ感は中深煎で最も強く感じられ、甘味はすべての焙煎度で味わえました。



いやはや、スペシャリティに特化した中米産のクオリティの高さには舌を巻いてしまいます。



深煎好きの方で、酸味の強いコーヒーは苦手という方がいらっしゃいますが、中米産クロップが持っている酸味は別モノと言っても言い過ぎには当たらないと思います。

エルサルバドル/ラス・ヌベス農園のブルボンウォッシュは、深煎コーヒーを好んで飲まれている方にも、ぜひお試しいただきたいクロップです。