悲しい恋物語の小説や映画……。
男としては、真顔で「好き」と言えないジャンルではある。
が、筆者は嫌いではない。
いや、むしろ「好き」と言った方が正確だろう。
今回ばかりは、涙を流さずにいようと思いながらも、
止めどなく涙する恋物語。
心の新陳代謝には、
欠くべからざるものではなかろうか。
そして同様に、
悲しい恋物語に欠かすことができないのが、
ストーリーのテイストにピッタリ合った一杯のコーヒーである。
悲しみよりもっと悲しい物語
初めに断っておくが、
筆者は決して韓流好きというわけではない。
ただし、今回紹介するのは、韓流映画である。
クォン・サンウとイ・ボヨンが主演した韓国映画「悲しみよりもっと悲しい物語」は、
韓流らしい突飛な設定ながらも、悲しい恋物語としては上手く構成された作品になっている。
おそらく、伊藤左千夫の「野菊の墓」や武者小路実篤の「愛と死」を読んで流す涙と
同類の涙が期待できる。
<韓流映画「悲しみよりもっと悲しい物語」プロモーションビデオ>
2010年の劇場公開時に映画館で観て涙し、
その後、DVDを借りて再び涙し、
よほど気に入っていたためと思われるが、
YouTubeで同映画の関連動画を観て、三度涙を流した悲しい恋物語である。
劇場公開版のテーマソングは、
イ・スンチョルの「More Than Blue」が採用された。
<劇場公開版の主題歌:イ・スンチョル>
年代設定の古い未公開バージョンもある
実は、この映画には、
劇場版とは別に、設定年代が少し古い未公開版バージョンが存在する。
そちらのテーマソングは、Kim Bom Soo の曲が採用されている。
<未公開版のもう一つの主題歌:Kim Bom Soo>
さらに、劇場版では描かれなかった、
クォン・サンウ演じる主人公ケイが亡くなった後、
もう一人の主人公イ・ボヨン演じるクリームが、ケイの後を追って自殺するシーンもある。
もちろん、劇場版においてもクリームが亡くなっていることを匂わせるシーンはあるのだが、
未公開版では、そこがストレートに描かれている。
そのシーンが含まれた未公開版のプロモーションビデオが次だ。
<未公開版のプロモーションビデオPrttⅡ>
物語の構成と邦題について
ところで、この物語は2面から構成されている。
まず、ケイの面。
余命の短いケイは、
愛するクリームの幸せを願い、自分の気持ちを押し殺してクリームを他人と結婚させる。
これが1つ目の悲しい物語……。
ところが、クリームは、
そのケイの思惑をすべて知った上で、愛するケイに悟られないよう彼の気持ちに応える。
そして、ケイが亡くなってから彼の後を追う。
こちらが2つ目の悲しい物語。
つまり、お互いがお互いを想い合った末の悲恋の物語ということなのだが、
邦題は「悲しみよりもっと悲しい物語」……
しかし、この映画を映画館で見終わった後の筆者の頭には、
「もう一つの悲しい物語」という言葉が浮かんだ。
Another sad story
筆者には、
どうしてもこちらの方が、しっくりとくるように思われてならない。
お勧めのコーヒー
さて、いずれにしてもこの映画、
特に韓流嫌いでなければ一見の価値ある映画としてお勧めしたい。
無垢な気持ちで観れば、気持ちよく涙できる物語である。
また、お供のコーヒーには、
少し深めにローストした
タンザニアのキリマンジャロ辺りをチョイスしてみるとよい。
悲しい恋物語には、
コーヒーの酸味と苦味が、実によくマッチするのだ。